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妥協なき「手触り」を支える技術変革。QualiArtsがProtoPieで実現したスマホゲームUI/UX開発の理想形

2026/02/03

妥協なき「手触り」を支える技術変革。QualiArtsがProtoPieで実現したスマホゲームUI/UX開発の理想形

日本のモバイルゲーム市場において、コンシューマー機並みの高い完成度でUI/UXの基準を塗り替えてきたサイバーエージェント傘下のスマートフォンゲーム開発スタジオ、QualiArts。同社の看板タイトルのアイドルマネジメントRPG『IDOLY PRIDE(アイドリープライド)』に象徴されるように、彼らは単なる視覚的な美しさだけでなく、タップやスワイプといったゲーム操作における精密な「手触り」を追求することで、プレイヤーに真に心地よい体験を提供しています。

しかし、この「究極の感触」を実現する裏側には、かつて大きな技術的課題がありました。従来、UIの実装にはFigma、After Effects、Unityを横断する複雑な工程が必要であり、デザイナーの意図をエンジニアがUnity上で再現するまでに数日を要していました。さらに、微細なタイミングやイージングの調整を行うたびにエンジニア工数が発生し、1回のアニメーションレビューに3日間を費やすなど、反復作業のコストがクリエイティビティの障壁となっていたのです。

このボトルネックを打破したのが、高忠実度プロトタイピングツール「ProtoPie」の導入でした。デザイナー自身が数分で実機検証可能なプロトタイプを構築できるようになり、ハンドオフ機能によって仕様の解釈違いを排除。結果としてレビュー時間を70%短縮し、ピクセル単位の完璧な忠実度を維持したまま、圧倒的な開発スピードを実現しました。

いかにしてQualiArtsは、クリエイティビティと効率化を両立させたのでしょうか?

触れることのできないプロトタイプが招く「3日間の停滞」

QualiArtsの開発チームを常に悩ませていたのは「ユーザーが実際に触れたときの理想の感触を追及したいが、変更するにはほぼ手遅れのタイミングになるまで開発現場では実際に触れることができない」というパラドックスでした。特に『IDOLY PRIDE』のような、マネージャー体験の没入感を大切にしているゲームでは、ユーザーの「手触り」への妥協は致命傷となります。キャラクター選択時にわずか0.1秒の反応遅延があるだけで、プレイヤーの没入感は損なわれてしまうからです。

ProtoPie導入前のワークフローは、多くの制約に縛られていました。デザイナーがAfter Effectsで何時間もかけて精緻なアニメーションを制作しても、それはあくまで「動画」に過ぎません。エンジニアに「こんな感じで、かつインタラクティブに実装してほしい」と依頼し、Unity上で実機テストができるようになるまでには、通常3日を要していました。

ようやく上がってきた実装を確認すると、ほぼ正確なのですが、完璧ではありませんでした。「ボタンのバウンスがわずかに遅い」「繰り返しタップすると違和感がある」といった問題が頻発します。微調整のたびに再び3日間の待機が発生する構造は、コスト面だけでなくクリエイティビティにも悪影響を及ぼしました。デザイナーは、野心的な試行錯誤を控え、次第に「無難な着地点」を探るようになっていたのです。

90秒で「見えないもの」を「触れられるもの」へ

この状況を打破するため、QualiArtsは「ビルド前に手触りを検証できるツール」としてProtoPieを選定しました。導入の決め手は、極めて複雑な『IDOLY PRIDE』のレベルアップシーケンスを、Unity実装と見分けがつかない精度で再現できたことでした。

ProtoPieの導入により、検証サイクルは「3日間」から「90秒」へと劇的な進化を遂げました。デザイナーは、同期表示やパーティクル効果、触覚フィードバックを含む高度なインタラクションを、コードを一行も書かずに構築し、即座にiPhoneなどの実機へプッシュできます。

「タップしてみて、反応が遅ければ0.03秒調整し、再度タップして確認する」 この一連の動作が数分以内で完結するため、デザイナーは自らの手で納得がいくまで「手触り」を研ぎ澄ますことが可能になりました。さらに、親指が届きにくい操作性や、Android端末特有のパフォーマンス問題など、静的なモックでは決して気づけなかった課題を設計段階で先回りして解消できるようになったのです。

エンジニアとの「伝言ゲーム」を終わらせる「究極のハンドオフ」

ProtoPieがもたらした真のブレークスルーは、検証後の「ハンドオフ(開発受け渡し)」工程にあります。かつてデザイナーの意図をエンジニアが解釈する際に生じていた「翻訳のコスト」が、ProtoPieによって完全にゼロになりました。

ProtoPieのハンドオフ機能は、デザイナーが作り込んだ動きを、エンジニアがそのまま利用できる精密な仕様として自動生成します。

  • 正確なタイミング: 「速めに」ではなく「0.18秒」

  • 精密なイージング: 「バウンス感」ではなく「cubic-bezier関数」

  • 明示的な変換: スケール、不透明度、座標移動の具体的なデータ

これは、言葉で「青く塗って」と伝えるのと、正確な「カラーコード」を渡すほどの差があります。エンジニアは仕様の解釈に頭を悩ませる必要がなくなり、Slackでの不毛な確認作業から解放されました。Figmaでレイアウトを、ProtoPieでインタラクションを、そしてProtoPie Cloudを通じてエンジニアへ完璧な仕様を渡す。この一貫したフローにより、プロダクトの忠実度は99%まで向上し、アニメーションのレビュー時間は70%も短縮されました。

確信を持ってリリースできる文化への転換

ProtoPieの導入は、単なる効率化を超えて、QualiArtsの組織文化そのものを変容させました。かつてエンジニア工数を気にしてアイデアを自ら抑え込んでいたデザイナーたちは、今や自由に実験的なプロトタイプを作り、野心的な提案を行うようになっています。

特に、プレミアムな体験となめらかな操作が求められる『IDOLY PRIDE』では、キャラクターを含む画面全体のUIアニメーションにおいて、複雑な視差効果、多段階のレイヤー表示、動的なステータス表示、コンテキストセンシティブなマイクロインタラクションなどで、精巧に作り込まれています。極限までその挙動を追求し、ProtoPie上で事前に何百回も検証しました。その結果、最終的なUnity実装が完了したときには、デザイナー自身でさえ「どちらがプロトタイプで、どちらが本番環境か」を判別できないほどの精度に達していたのです。

「スピードか、品質か」という二者択一を、ProtoPieは過去のものにしました。高品質な検証を高速で行うことで、問題を早期に修正し、結果として全体の開発スピードを底上げする。QualiArtsは、直感的なツールを活用することで、手触りという「捉えどころのない本質」を確実にプレイヤーへ届けるワークフローを確立しました。彼らは今、プロトタイプを作っているのではなく、確信を持って「最高の体験」をリリースしているのです。

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